「走るのが遅いね」「またお休み?」「それは女の子用だよ、男の子のはこっち」
幼い頃の私は、そんな言葉をよく耳にしていました。
保育園時代、私は「欠席数No.1」。運動会ではいつもビリ、とびばこはとレベない。なんなら動くことも苦手で体型も太っていたため男の子と間違えられてばかり。
当時の私は運動に、いやもう自分にまったく自信がなく、それどころか「苦手、私にはできない」と決めつけて、なるべく距離を置いていました。
でも、小学校高学年になると「痩せたい」という気持ちが芽生え始めます。テレビや雑誌で見る細い女性たちに憧れて、運動はしないけど食べないダイエットに挑戦し…当然、体力はどんどん落ちていきました。

人生を変えた「病院の先生のひとこと」
そんなある日、体調を崩して病院を訪れた私に、先生がこんな言葉をかけてくれました。
「このままだともっと体力が落ちるよ。無理しない程度でいいから、少しずつ体を動かしてみたら?」
その病院には、なんと併設のジムがあり、先生の勧めで体験に行くことに。
それが、私の人生を大きく変える最初の一歩でした。
最初は本当に少しずつ。ウォーキングマシンの上をゆっくり歩いたり、ストレッチをしたり。周りの人が軽やかに動く姿を見ながら、自分は自分と割り切ってマイペースで続けました。
すると、少しずつ変化が現れたのです。
朝がつらくなくなり、疲れにくくなり、何より気持ちが明るく前向きに。
運動が「苦手なもの」から「助けてくれるもの」へと変わっていきました。
「苦手な人ほど、運動のサポートが必要なんだ」
この経験から私は、「運動が苦手な人ほど、インストラクターの存在が必要なんだ」と心から思うようになりました。

私自身、強くて元気な人に憧れていたけれど、そうなれたのは周りのサポートや運動のおかげ。だったら、今度は自分が誰かのサポートをしたい――そう考えるようになり、思い切ってインストラクターの道に飛び込んだのです。
まずは女性専用の体操教室でお仕事をスタート。
「運動が苦手だった私だからこそ、同じように悩む人に寄り添えるはず」と、目の前の生徒さん一人ひとりと丁寧に向き合いました。
店長になって見えた景色
頑張る日々の中で、自分に自身がなかった私はだからこそ、自分を変えたい、そして周りに良い影響を与えられる人になりたいと思い私は店長に。
気がつけば、チームみんなで一人一人のメンバーさんのことを本気で考え、本気で共有し合うサポーとを続けて、東京で一番継続率の高い店舗となり、全国でも2位の記録をいただけるほどの教室に成長していました。

でも、そこには一つだけ、どうしても解決できないモヤモヤがありました。
それは――
「妊娠された方や、子ども連れのお客様には、退会してもらわなければならない」という決まり。
心と体を整えたいのは、むしろそういうタイミングの女性たちなのに。
本当は続けたいって思ってくれているのに。
マシンがあるということやお子様がいるということはリスクでしかなく、お腹をマシンにあてるものも多かったのでそうせざるを得ない状況でした。
申し訳なさと歯がゆさが、私の胸にずっと引っかかっていました。
妊娠・出産と、コロナ禍の孤独
その後、私自身も妊娠・出産を経験しました。
けれど、その時はちょうどコロナ禍。人と会えない、外に出られない、リフレッシュする場もない…。
そんな中主人は在宅ワーク。赤ちゃんの声や私の声が仕事の邪魔になるとのことで外出するように言われていました。「どこにいこうかな」「友達が欲しいな」とフラフラしていました。
そんなとき、ふと、かつての自分のように困っているママたちの存在が頭をよぎりました。
「今、私にできることはないだろうか?」
。。。。見つけられないなら自分でそんな場所をつくろう!
そしてママになった自分、私が最高って思える環境を作りたい!!
そう考え探し、出会ったのが「ベビトレヨガ」でした。

私がインストラクターになった、本当の理由
ベビトレヨガは、赤ちゃんの脳や体の発達を促しながら、ママ自身も心身を整えられる優しいヨガ。
「我が子と一緒にできる」「泣いても動いてもOK」――そんな空間が、かつての私が一番ほしかったものでした。
そして今、私はその空間を自分で作っています。
「居場所がない」「子どもがいるから運動は無理」そんな風に感じているママたちが、少しでもホッとできて、笑顔になれる時間を提供することが、私の使命だと思っています。

最後に
運動が苦手で、体力もなかった私が、インストラクターになるなんて――昔の自分が聞いたらきっとびっくりすると思います。
でも、苦手だったからこそ、つらさがわかるし、寄り添える。
「わたしにできたんだから、あなたにもできるよ」と伝えたい。
今でも得意なことばかりではありません。
でも、目の前のママと赤ちゃんの笑顔が、私の背中を押してくれます。
これからも、「誰かの変わりたい」の背中をそっと押せる存在であり続けたいと思っています。
寺山 えりリンクまとめ
